生徒会室に満ちる退屈…もとい穏やかな時間を切り裂くかのように、スライド式のドアが開く。
現れたのは我が生徒会の風紀委員。
今日は軍での仕事が早く終わったのだろうか。
この時間から学園内に姿を見せることの少ないスザクが、久しぶりに登校した。

「おはようございます」
「おはよー、スザク君!」
「おー!重役出勤だな、スザク」
声を掛けて来たシャーリーとリヴァルに返事をしながら、にっこりと笑う。
「珍しいわねー。今日はずいぶん早いじゃない」
「ええ。実験データを取ってたんですけど、上司の気まぐれで早く終わったんです」
「ふーん。そうなの…」
つまらなそうに呟くミレイに構わず、スザクはミレイの側に座っている親友へと声をかける。

「おはよう、ルルーシュ」
「ああ、おはよう。いや、おはようって時間でもないぞ、スザク」
「まあそうだけど。細かいことは気にしない。そんなことより、おめでとう、ルルーシュ」
「え…?」
何のことだ、とルルーシュは首を傾げる。
「まさか覚えてなかったの?」
「だから何のことだ?」
何か重要なことでもあっただろうか?
信じられない、というような目で見てくるスザクを訝しげに見つめる。

「君の誕生日だろ、今日」

「え?ルル、今日誕生日なの?」
「なんだよ、ルルーシュ。言ってくれたら盛大にお祝いしてやったのに!」
驚きの声を上げるシャーリーとリヴァルに、ルルーシュは戸惑う。
なんせ、自分でもすっかり忘れていたぐらいなのだから。
「いや…その、自分でも忘れてて…」

「それだーっ!!!」

「「「え?」」」
先ほどまでの気だるげな雰囲気はどこへやら、面白いこと大好きのミレイ・アッシュフォードは瞳を爛々と輝かせて立ちあがった。
彼女の唐突な行動に驚くメンバーを尻目に、彼女は部屋の隅に備え付けの放送機器の前まで歩いていく。
そしておもむろにマイクを手に取り、放送中のスイッチを入れた。

「こちらアッシュフォード学園生徒会、生徒会長ミレイ・アッシュフォードです」
当たり障りのない挨拶から始まったミレイの言葉は、やはりというかそれだけでは終わらなかった。
「生徒諸君!今日は一体何月何日?…そう12月5日!」
芝居がかった仕草で言葉を発する姿は、いかにも面白いことを見つけたといわんばかりの様子だ。
「我らがアッシュフォード学園生徒会、生徒会副会長ルルーシュ・ランペルージの誕生日よ!」
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