「え〜本当〜?やだもう、スザクってば〜」


また始まった、とルルーシュは眉間の皺を深くした。
午前中の退屈な授業が終わって、勉強から解放された昼休み。
友達同士で持参のお弁当を広げる者、食堂へと連れ立っていく者。
はたまた、食事もそこそこに、校庭へと駆け出していく者。
生徒たちが思い思いに時間を過ごすその時間に、いつもそれはやってくる。

ルルーシュの視線の先には、一人の少年。
くるくると巻いた茶色の髪、鮮やかな色合いの緑の瞳。
幼馴染の枢木スザクだ。
別に彼とは小学校の頃からずっと同じクラスだし、この場に彼がいること自体は何の不思議もない。
問題は、彼にくっついてくる付属物だ。
今現在、スザクの隣に立って、自分の腕を彼のそれに絡める女子生徒。
女の子らしくカールのかかった明るい髪、化粧を施した目鼻立ちのはっきりした顔、可愛らしく笑う声。
その姿を視界に捉えたルルーシュはさらに表情を険しくした。
お前、こないだまでの彼女はどうした。
今スザクの隣で笑う女子生徒は、ルルーシュが先週スザクの家に忘れ物を届けた際に遭遇した彼女(マリアだかキャシーだか、どこにでもいるような名前の子だった)とは明らかに違う子だ。
また振ったのか、あいつ。

はっきり言ってスザクはモテる。
元々顔立ちは格好いいの分類に入るし、自分という一部例外を除き誰に対しても人当たりがいい。
勉強は、まあいまいちだが、運動神経は抜群で1年にして剣道部のエースだ。
生徒会の役員でもあるし、さらにこの近辺でも有名な代議士の息子とくれば、女の子達は放ってはおかないだろう。
だがしかし。
いくらなんでもやりすぎだと思う。
スザクが誰と付き合おうとスザクの勝手だからルルーシュが口を挟むことではない。
それでももう少し自重してほしいと思うのは、私だけではないはずだ。
毎回毎回、教室でいちゃついて、結局数日後には修羅場になって別れる、というのを何度見させれば気が済むというのだ。
スザクが女の子に隣を許しているというのを見るだけでも、ルルーシュは気に入らないのに。

「ねえ、スザク。今度の日曜、空いてる?」
「え?あ、うん、空いてるよ」
「本当〜?じゃあ、あそこ行きたいんだけどー」

いつものことだ。
スザクが当たり前のように、隣に女の子を置くのも。
その女の子の顔が見るたびに変わっているのも。
いつもの、何気ない日常の一コマのはず。
それなのに、どうして自分はこんなにも悔しいのだろう。
(なにもこんな教室で見せつけるようにしなくたって…)
昔、あの場所は、スザクの隣は、自分だけに許されたものだったのに。
わかっている。もうあの頃の、二人で無邪気に笑っていられた関係とは違うのだと。
それでも未練がましく思う気持ちを止めるすべをルルーシュは知らなかった。
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誘惑に負けて書き始めちゃいました。
ずっと書きたかった高校生幼馴染スザルル子。
これ以上連載増やしてどーするよ、自分…。