角を右に曲がろうと足を向けたが、前をよく見ていなかったため、前から現れた人に思い切りぶつかってしまった。
「…っすいません!」
「あら?ルルーシュ?」
「げっ…!」
「「げっ!」って何よ。まるで私が化け物みたいじゃないの」
みたい、じゃなくてそうなんだ、と言いたいのをルルーシュは必死で堪えた。

「いや、つい…」
「ひどいわー。仮にも女の子に向かってそんなこと言うなんて」
ちっとも酷いなどと思っていないような口ぶりでミレイは話す。
「でも、ま、ちょうどいいわ。ちょっと生徒会室まで来てくれる?」
その言葉にルルーシュは思わず身構える。
「そんなに嫌そうな顔しないで。別にとって食おうなんて思ってないから」
「会長は普段の行動が信用ならないんですよ」
何度その笑みに騙されたことだろう。

「じゃあ、たまには信じてよ。純粋にプレゼントあげようと思っただけなんだから」
「は?プレゼント?」
「私がルルーシュを捕まえたんだから、プレゼントあげなくっちゃでしょ?」
そう言ってミレイはいつもとはちがう、酷くやさしい顔で笑った。





生徒会室につくと少し待っているようにとルルーシュに言い、ミレイは部屋を出て行った。
しばらくすると、なにか皿を手にとって戻って来る。
その皿の上に乗っていたのは、イチゴのショートケーキだった。
「一人分でホールじゃないけど。はい、誕生日プレゼント」
そう言って皿をルルーシュの目の前へと置く。

「これ…」
ルルーシュの好きなイチゴをふんだんに使ったケーキ。
「私がルルーシュの好物を知らないとでも思った?」
そういって、ふふ、と笑う。
「本当は値段的にプリンとどっちにしようか迷ったんだけど、やっぱり誕生日だから」
優しいミレイさんのポケットマネーからよ!

「なんでケーキまで用意してくれたんですか…?」
「んーなんでかしら?なんとなくだけど、最近ルルーシュが疲れたような顔するから」
たまには息抜きもいいんじゃない?って思っただけよ。

その言葉にルルーシュは、はっとする。
確かに最近ろくに休む暇などなかったかもしれない。
ミレイはそれをきちんと見抜いていたのだ。

「ミレイ…」
普段は呼ばない名前を、ルルーシュは呼ぶ。
「ん?」
「…ありがとう」
「いーえ、どういたしまして!」
ミレイの嬉しそうな笑顔を見ながら、ルルーシュはケーキを食べるためにフォークを手に取った。
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ミレルルED <ちょっと休息も必要でしょう?>