※ジノスザです!嫌な方はブラウザバック!




どうして自分はここにいるのだろう。
守るべき人も、大切だった友も、確かに掌にのせたはずの夢も失った。
生きたいと思う心も、失ってしまった。
それでも自分は生きている。
償いきれぬ罪を抱えて、今ここに。
時の中に、人の中に、世界の変革の中に流されて、のうのうと生きている。
自分が赦されていいはずはないのに、何故―――


「俺のことだけ考えろ、とは言わないけどさ。ちょっとはこっちに集中してくれよ」
不機嫌な声に思考は掻き消された。
少し目線をずらせば、自分を組み敷いている男の顔。
それがちょっと頭にくるぐらい整っていて、しかも貼り付けた余裕の表情が崩れないから、なんとなく面白くなかった。
「……」
スザクはその答えに眉を顰めるだけで返事はしなかった。
別に楽しくてやってるわけじゃない。
ただその態度が相手は気に入らなかったらしい。
「少しぐらい抵抗してくれないと楽しくないんだけど?」
「…楽しませるためにやってるわけじゃない」
そっけなく答えた声に、相手は面白そうに口の端を吊り上げた。
「へえ、じゃあ何のためにこんなコトしてるわけ?」
「……」
「答える気はない、か」
面白いとふっと軽く笑う姿が、目の端に映った。
「まあいいさ。でも、少しは素直になってお前も楽しめよ」
近付いてきた吐息に、耳元をくすぐられる。
でもそれが心地良いとは思わなかった。


所詮こんなのは傷の舐め合いだ。
過去の感傷に浸って、自分のやるせない感情を向ける先を見つけられなくて、行き着いた行為。
いや、今自分を組み敷いているこの男にとっては違うのかもしれない。
けれどどちらにせよ、相手が何を思って自分に手を出すのか聞いたことはない。興味もない。
この行為に意味なんてない。意味を見出す気にもなれなかった。
別に操立てする相手も、もういないのだ。
どうせすぐに終わる。

だからこんな気まぐれな行為に意味なんて、ないんだ。
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