えーっと…
これ、一体どうしたらいいんでしょう?

俺の目の前には二人の人影。
一人は、我らがアッシュフォード学園副生徒会長、ルルーシュ・ランペルージ。俺の悪友。
もう一人は、アッシュフォード学園生徒会風紀委員、枢木スザク。名誉ブリタニア人で軍人でルルーシュの親友。
あ、別に俺はスザクが名誉ブリタニア人だからどうとか、そういうのはないからな?
そりゃあ、いきなり転校してきた時は戸惑ったけどさ。
でもあいつの行動見てれば、悪い奴じゃないってのはすぐにわかったし。
って、話が逸れた。
今問題なのは、スザクのことじゃない。
この目の前に広がる光景だ。

俺の視線の先にはゆったりとした大きなソファー。
別にソファーだけなら何の問題もない。
そこに居座る二人が大問題なのだ。

後姿だけを見るなら、二人が肩を並べてソファーにもたれかかってるように見える。
だからちょっと油断してたんだ。
まさかあんなことになるなんて思ってもみなかった。

「おーい、ルルーシュ、スザ…」
声を掛けようと近づいた俺の足は二人の姿を捉えるなり見事に止まってしまった。

えーっと…
あの、つかぬ事をお聞きしますが、なんで二人ともこんな所で寝てるんでしょうか。
それにスザクはまだしも、ルルーシュさん?
……ナンデ服を着ていないんですか。

スザクは上半身裸だったが、下はきちんと穿いているからまだいい。
しかしルルーシュは制服のシャツを一枚羽織っただけで、あとは何も身に付けていない。
まさか下着すらつけてないのではと思わせるほど、シャツの下から際どいラインまで白くほっそりとした太ももが覗く。
その格好でスザクに抱きかかえられるようにして体を丸めるルルーシュは、男の庇護欲と独占欲を誘うだろう。

あの、これってもしかしなくても、ナニでアレな状況だったりします?

見てはいけないものを見てしまったと思わずあとずさる。
しかし注意力散漫になっていた俺は足がもつれてバランスを崩し、手近にあった机に思いっきり手を叩きつけてしまった。

ガタッ

あ…
やっちゃった。

ピクリ、とスザクの瞼が動く。
ルルーシュはともかく気配に敏感なスザクのことだ。
起きてしまうだろうとは思っていたが、できれば起きて欲しくなかった。
スザクはゆっくりと目を見開いて、むくりと起き上がる。
そして開口一番、衝撃的な言葉を発した。

「早く出てってくれると嬉しいんだけどな。ルルーシュとの時間を邪魔しないでくれない?」
「え?」
「だから、二人っきりにさせて欲しいって言ってるんだよ」
「い…いつから」
俺がいるって気付いてたんだ?
「君が部屋に入って来た時から。僕は軍人だよ。気付かないわけないだろう?」

なんだよ!そのときから気付いてたってんなら、もっと早く言ってくれよ!
そうすればこんな気まずい場面に出くわさなかったのに!

「んっ…」
スザクの体温が離れたことで肌寒さを感じたのだろうか、ルルーシュがソファーの上で身じろぎする。
「早く。ルルーシュが目覚めないうちに」
「…わかったよ」
スザクの迫力に押されてさっさと退散することを選ぶ。
これ以上この場にいると、酷い目に合いそうだ。

「お願いだから今度からは鍵閉めてやってくれよ!」
部屋を出る直前、忠告とばかりに投げかけた言葉。
もうこんなことはごめんだからな!
しかし返ってきた答えは俺の想像を越えていた。

「いやだなあ、見せつけるためにわざわざ鍵開けといたんじゃないか」

にっこりと笑って告げたスザクの後ろにどす黒いものが見えたのは絶対に俺の気のせいなんかじゃない。




その後の二人

「ん…スザク?……どうした…?」(まだ寝ぼけてる)
「なんでもないよ、ルルーシュ」(にっこり)
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