「ねえ、ルルーシュ」
会長に押し付けられた書類をいかにもめんどくさそうに眺めていたルルーシュに声をかける。

「キス、してもいい?」
「…は?」
わけがわからないときょとんと見上げるように向けられた視線にスザクは思わずどきりとした。

ああ、もう。
そんな可愛い顔しないでよ。

「ダメ?」
「ダメも何も、ここをどこだと思って…」
いくら今は自分達二人だからと言っても、ここは生徒会室なのだ。
いつ誰が来るともわからないのに、そんな要求に頷けるはずがない。

「大丈夫だよ。会長は仕事押し付けて帰っちゃったし、ニーナは理科室で実験するって言って出てったし。シャーリーは水泳部、リヴァルはバイトだって聞いたよ。カレンは病欠」
「人が来ないからとか、そういう問題じゃない!」

顔を真っ赤にさせて必死で怒るルルーシュがはやっぱり可愛い。
もう…なんでこんなに可愛いのかな…。
このまま彼を自分の元に縛り付けてしまいたいという思いが、自分の中で膨らんでいくのを押さえつける。
それでもやっぱり我慢できなくて、手を引いてルルーシュの体を自分の腕の中に閉じ込めた。

「スザク!なんでお前はそう言葉より行動が先に出るんだ!」
「あはは…ごめん。でもルルーシュが可愛すぎるのがいけないんだよ」

―――だから我慢できなくなるんだ。

そう耳元に吐息を落とすと、あからさまにびくりと体を震わせて。
ああ、もうそんなところも可愛すぎる。

「男で可愛いなんて言われて喜ぶやつなんかいるわけないだろ!」
そう言って抵抗しようと高く振り上げたルルーシュの手をあっさり受け止める。
「誉め言葉なんだけどな」
「…スザクっ!」

そんな顔で見つめないでって言ったじゃないか。
僕を煽ってるの?
それなら少しぐらいは許されるよね。

「ごめんね、ルルーシュ」
「え…ちょっ…待て、スザク!」

静止の声を無視して、未だに腕の中で可愛い抵抗を続ける恋人の唇に掠めるようなキスを落とした。
Back / Top